続・高橋セミナー
第12回 層別因子を含む探索的な回帰分析入門 <第8章> 交絡変数と共変量を含む2群比較
2024年2月11日
要約
医薬品あるいは農薬などを含む化合物の安全性の評価の一環として,実験動物を用いた反復投与による各種の毒性試験が行われている.竹内ら(1989),「統計学辞典,IV分野別応用,4.3 毒性評価」に示されているように実験手順は,細かく規定されており,用いる統計的方法についても分野により細かな差異はあるもののおおむね規準化されている.反復投与試験の多くは,実験動物の成長期に行われ,化合物の実験動物に与える影響を多面的に評価するために数多くの変数が測定される.このために,化合物の直接的な作用と推定される反応だけではなく,交絡変数が間接的に作用する反応も拾い出してしまう.間接的な作用であることを識別するために,反応と交絡変数の比などを求めて,交絡変数の影響を取り除く工夫もされている.交絡変数の影響を統計的に取り除く方法として共分散分析が知られており,そのため交絡変数は,解析に際しては,“共変量”として混同されがちである.そこで,多面的な作用が内在する交絡変数を含めた探索的な解析法について例示する.
第8章 目 次 8. 交絡変数と共変量を含む2群比較 243 8.1. 体重の増加抑制は総摂餌量の影響だけか 243 体重の増加抑制 2群間のt検定を使った検討 体重の増加量および増加率 前後差か増加率かの判断基準 交絡変数・総摂餌量の影響 共変量・前値の影響 共変量・胎仔数の影響 8.2. Excelによる複数の共変量を含む探索的な回帰分析 250 前後差に対する共変量としての前値 複数の共変量との交互作用 複数の共変量を考慮した2×2の散布図 8.3. JMPによる複数の共変量を含む探索的な回帰分析 255 ステップワイズ法による変数選択 「標準最小2乗法」による予測プロファイルの活用 8.4. 交絡変数の多彩な影響への対応 260 投与終了時の体重は交絡変数 解析手法の選択のための決定樹 1)XとYに相関があるか 2)2群の回帰直線が同一線上か 3)2本の直線の傾きは同じか 4)回帰直線が原点を通るか, 5)2本の直線が原点を通らず傾きが同じでない場合い場合 8.5. 体重を交絡変数とする回帰分析 268 群により回帰直線の傾きが異なる場合 体重の総平均での臓器重量の比較 予測プロファイル作成 回帰直線が同一直線上と見なせる場合 2本の回帰直線が原点を通る場合 交絡変数を常に念頭にした現実的な対応 文献索引,索引,解析用ファイル一覧 (281)
添付ファイル
高橋セミナー12_08_交絡変数_2024_02_11.zip